大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(あ)2629 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A株式会社、同Bの弁護人加藤保三の上告趣意第一について。

所論は、結局において本件適用法令たる外国為替及び外国貿易管理法二七条一項

三号の規定が、規制の具体的内容を政令以下に譲つた、いわゆる委任立法である点

を、一般条項ないし空白刑法であるとして、罪刑法定主義を保障した憲法三一条、

三九条に違反すると主張するものであると認められる。

しかしながら、憲法七三条六号但書の規定により、とくに法律の委任がある場合

においては、政令に罰則(すなわち、犯罪構成要件および刑を定める法規)を設け

ることを委任することの憲法上許されるものであることは、当裁判所屡次の大法廷

判決(昭和二三年(れ)第一四一号、同二五年二月一日言渡、刑集四巻二号七三頁、

昭和二七年(あ)第四五三三号、同三三年七月九日言渡、刑集一二巻一一号二四〇

七頁等)の趣旨からも疑いを容れないところである。されば、所論の本件適用法令

たる外国為替及び外国貿易管理法二七条一項三号が、「この法律の他の規定又は政

令で定める場合を除いては、何人も、本邦において非居住者のためにする居住者に

対する支払等をしてはならない。」旨規定し、右規定を受けた、昭和二五年六月二

七日政令第二〇三号「外国為替管理令」一一条が、右支払等につき、主務大臣の許

可又は日本銀行若しくは外国為替公認銀行の承認を受けたときは、右支払等をする

ことができることのほか、主務大臣等において右許可等をしてはならない場合、右

許可等を受けないで支払等をすることができる場合、さらには右許可等の申請の手

続等を規定しているからといつて、憲法三一条に違反した立法であるとはいえず(

なお、行政法規、とくに本法のような経済統制法規は、その内容が複雑多岐にわた

り、しかも変動する社会の実情に即応して改正していく必要があるため、法律自体

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には基本的な規制を概括的に規定し、その具体的な規制を政令以下の命令に委任し、

命令に詳細な定めを設けることを必要かつ適当とする場合が稀ではなく、このよう

な規制方法をとることも、あながち不合理とはいえない。)、この点に関する論旨

は理由のないものであり、憲法三九条違反をいう点は、同条前段前半の定める、い

わゆる事後立法の禁止又は刑罰不遡及の原則が罪刑法定主義の一内容をなすもので

あるとしても、論旨自体からは、原判決論難の趣旨が明らかでなく、上告適法の理

由とならないものである。

同第二について。

所論は、事実誤認ないし単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当ら

ない。

同第三について。

所論は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。

被告人株式会社C、同Dの弁護人原田武彦の上告趣意第一は、事実誤認、量刑不

当の主張であり、同第二は、違憲をいうところがあるが、該当法条を具体的に指摘

していないから不適法であり、その余は事実誤認の主張であつて、以上すべて適法

な上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三九年一一月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 由 正 俊

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 柏 原 語 六

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裁判官 田 中 二 郎

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